マーク・ブキャナン『複雑な世界、単純な法則』
オットセイを間引けばメルルーサは増えるか?
オットセイが減れば、オットセイが食べているメルルーサは増えるのか、ということを計算してみると、その因果の道筋は実に2億2500万通りを超えるらしい。
その因果の道筋がドミノ倒しのようになったのが地質時代で少なくとも5回ある。
その5回とも、地球上の生物全種類の5割以上が突然姿を消すことになった。
地球上に現在いる生物の膨大な数はそれぞれに複雑な食物網で連鎖しあっているため、どれがなくなればどれがなくなる、という単純な話ではないのである。
ケヴィン・ベーコンの神託、グラフ理論、エルデシュ理論などもわかりやすく説明されている。さまざまな理論の導入として初心者向けに面白い本。
エルデシュ理論について、「ネットワークが大きくなるにつれて、必要とされるリンクの比率はだんだん小さくなる」とある。
弱いつながりがどんどんしなやかな網のようになっていく、そんな世界を想起する。